結論:「ライオン顎」こと頭蓋下顎骨症(CMO)は、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア(ウエスティ)幼犬の下顎枝・鼓室胞に生じる非腫瘍性の骨増殖症。1986年の系図解析は常染色体劣性と判定。2016年、ヘルシンキ大学・ベルン大学の Hytönen・Lohi らが犬5番染色体の SLC37A2 遺伝子 c.1332C>T を同定し、遺伝形式を「不完全浸透の優性」へ改訂(他モデルの完全否定は保留)。ウエスティ695頭の内訳は、ホモ接合123頭で CMO 報告48%、ヘテロ接合275頭で3.6%。1コピー保有犬を無症状の保因犬と扱う根拠は消え、判定票から読めるのはリスクの濃淡まで。変異ゼロのスコティッシュ・ケアーンにも罹患例あり。DNA 判定は臨床診断の代替にならず、開口時の悲鳴、下顎の腫脹、発熱、食べ渋りがあれば早めに獣医師の触診・X線・必要に応じ CT を。
- 耳の奥から下顎まで——ヘルシンキ大学の論文が描いた「ライオン顎」の経過
- 1986年の家系図が出した答え——「両親から1つずつ」の劣性説
- 1,052頭の DNA が書き換えたこと——SLC37A2 c.1332C>T の発見
- 123頭の48%、275頭の3.6%——「不完全浸透の優性」をウエスティの数字で読む
- 白いケアーンから生まれた犬種——3犬種の共通点と、変異なしで発症する犬
- 日本の獣医学誌に残る3つの記録——1970年の病理、1985年のスコッチテリア、2003年のコーギー
- 「キャリアは発症しない」が当てはまらない——国内の説明文を CMO 向けに読み替える
- 生後56日から1歳まで——お迎え、補償開始、発症の窓を1本の時間軸に並べる
- 痛みと付き合う数か月——治療研究で分かっていること、言えないこと
- よくある質問
- 参考文献
- 検査で調べるには
耳の奥から下顎まで——ヘルシンキ大学の論文が描いた「ライオン顎」の経過
Hytönen らの論文(PLoS Genetics 12巻5号)は、CMO の初発を4〜8か月齢とし、下顎腫脹、周期的発熱、食欲低下、疼痛、開口困難、嚥下困難を典型像に列挙。骨増殖の主座は下顎と鼓室胞(耳の奥の骨の袋)、ときに長骨の骨幹端です。
同論文によれば、骨格の成長期終了とともに徴候は多くが消退。ベルン大学などの2020年の全ゲノム研究(Genes 11巻2号)の症例は3〜7か月齢発症で、開口時の鋭い痛み、下顎の有痛性腫脹、発熱、一部に尺骨・橈骨の激痛。出典ごとに幅がずれるため、目安は「3〜8か月齢、1歳前後まで」。
自然退縮で片づかない記録もあります。英国王立獣医大学の Beever らは2019年、骨増殖が外耳道を全周性に巻き込み、慢性中耳炎と耳周囲膿瘍に至ったウエスティ3頭を報告。全耳道切除と外側鼓室胞骨切りで症状は消失し、CMO による外耳道包囲の初報告とされます。リバプール大学の2012年の症例は4か月齢のウエスティで、両前肢手根の20°外反と尺骨遠位の肥厚を併発。
テリア以外も含む2024年の CT 研究(英国・南アフリカの紹介症例20頭)では、鼓室胞病変の12頭全例で鼻咽頭が狭窄、5頭が手術、1頭が安楽死。1998年のバルセロナ自治大学の報告でも、ピレニアン・マウンテン・ドッグ2頭の片方が激痛と嚥下困難の末に安楽死。成長とともに鎮静化する犬が多数派でも、耳道・気道・顎関節に後遺を残す経過もある——この二面性が出発点です。
病名の輪郭も流動的。ニュージーランドのマッセー大学は2011年、前頭骨・頭頂骨・下顎に骨膜性新生骨を認めた8か月齢のピット・ブル・テリアを報告し、CMO と頭蓋冠骨増殖症(calvarial hyperostosis)を好発部位が犬種で異なる単一疾患とみて「idiopathic canine juvenile cranial hyperostosis」の総称を提案。2025年、3か月齢で下顎に無痛性腫脹を呈したベルジアン・マリノア同腹3頭の骨化性骨膜炎の報告がこの括りを支持しました。頻度面では、北米10校の獣医大学病院データベース(VMDB、1986〜1995年)で10年間の CMO 診断は35例、12の発育期整形外科疾患中で最少。
1986年の家系図が出した答え——「両親から1つずつ」の劣性説
CMO の記載は1950年代にさかのぼるとされ、1967年の獣医放射線学誌での症例記載、1979年の米国病理学会誌での Caffey-Silverman 症候群(乳児皮質骨過形成症)の動物モデル化を経て、研究の焦点は遺伝形式へ。
劣性説の出典は Padgett・Mostosky の1986年論文(米国の医学遺伝学誌 25巻1号)。抄録は CMO を「主にウエスティとスコティッシュ・テリア」の下顎枝・鼓室胞の非腫瘍性骨増殖と定義し、ヒトの Paget 病や Caffey 病との類似を指摘、ウエスティ1家系の遡及的系図解析から常染色体劣性と判定。系図の頭数は抄録に不記載。
劣性モデルでは、片親由来の変異1本保有犬は下顎腫脹皆無の保因犬、ライオン顎は父母双方由来の2本保有犬限定。交配上の戒律も「保因犬同士を組ませない」の一行で完結。Hytönen らの序論も劣性説を2016年以前の通説として回顧。約30年続いた定説です。
アオイ劣性説が30年も崩れなかったわけは? 森下 慧Hytönen らの指摘では、軽症のまま顎の腫れが自然退縮して見過ごされ、後から診断不能な犬がいる。そうした犬が系図の「未発症」欄に紛れ込むのです。1,052頭の DNA が書き換えたこと——SLC37A2 c.1332C>T の発見
2016年の研究はヘルシンキ大学 Lohi 研究室、フォルクハルサン研究所、ベルン大学 Vetsuisse らの合作。起点はウエスティ51頭(罹患10・対照41)のゲノムワイド関連解析で、犬5番染色体(CFA5)に関連シグナル。3犬種88頭で区間を絞り、到達したのが SLC37A2 エクソン15の1塩基置換 c.1332C>T。3犬種96症例での関連は p = 6.62×10-303 という桁外れの数値。
この置換はアミノ酸不変の同義変異ながら、スプライシング促進配列(SF2/ASF 結合部位)を破壊し、エクソン15の79塩基を欠く mRNA を産生。読み枠がずれ、C 末端75アミノ酸を欠く短縮タンパク質が予測されます。リンパ球 mRNA では、罹患(TT)犬でも正常型が減少しつつ残存し、保因(CT)犬の減少は軽度——著者命名の「漏れのある(leaky)」変異。SLC37A2 自体は破骨細胞などに多い糖リン酸輸送体ですが、本記事の主眼は遺伝形式。
遺伝子型判定は最終的に1,052頭(ウエスティ695、スコティッシュ249、ケアーン108)。米国の Westie Foundation of America はベルン大学・ヘルシンキ大学との2012年の共同プレスリリースで、同年12月1日のスイスでの直接 DNA 検査開始を告知。同財団のCMO 解説資料によれば、研究用の凍結試料の収集を財団が取りまとめてスイスへ送付しており、飼い主団体も試料提供で研究を下支え。
123頭の48%、275頭の3.6%——「不完全浸透の優性」をウエスティの数字で読む
ウエスティ695頭の内訳。ホモ接合123頭中 CMO 報告48%、ヘテロ接合275頭中10頭(3.6%)。逆方向に、CMO 報告のあるウエスティ69頭を数えるとホモ59・ヘテロ10・野生型0。3犬種の罹患96頭全体ではホモ78・ヘテロ16・野生型2。
この表を根拠に著者が下した結論は「CMO=不完全浸透の優性遺伝疾患」。ホモでも症状報告のない犬が約半数(漏出した正常型が発症を食い止めた可能性)、ヘテロでも発症例あり——両現象を最も素直に束ねる型です。同時に「他の遺伝モデルもまだ完全には排除できない」と明記し、優性に働く機序(ドミナントネガティブ効果など)も仮説段階と断っています。2020年の Letko らの論文でも incompletely dominant と記述。
48%・3.6%は浸透率の推定値ではありません。補足表の脚注には、集団対照の CMO 表現型は臨床未確認との明記があり、軽症で見逃された犬が「報告なし」側に混入した余地が残ります。試料はフィンランド・米国・スイスの飼い主から集めたもので、罹患犬を厚く含む構成。「ウエスティの約4割がヘテロ」も、集団保有率としては成立しません。
アオイじゃあ1コピーなら、ほぼ大丈夫? 森下 慧「ほぼ」は禁句。ヘテロのウエスティ275頭中10頭に顎の病気の報告があり、臨床確認済みの対照も無いため、真の割合は霧の中です。白いケアーンから生まれた犬種——3犬種の共通点と、変異なしで発症する犬
同一の c.1332C>T が、なぜウエスティ・スコティッシュ・ケアーンの3犬種に。JKC(ジャパンケネルクラブ)の犬種紹介によれば、ウエスティ作出の基礎は頻出した白色ケアーン。両犬種間交配は長期容認、1917年に AKC が交雑仔の登録を停止して完全分離。スコティッシュ欄にも、ケアーンと同族だったのは「ほぼ確実」。血統の近縁は背景として読めても、変異の起源と拡散経路を示した研究は未見です。
反証側の記録も。2016年の研究では、スコティッシュとケアーンに各1頭、変異非保有の罹患犬がいて、SLC37A2 全コード領域にも別変異なし。他7犬種の CMO 犬も同変異なし。2020年の全ゲノム研究は、バセット・ハウンドで同遺伝子の別変異(c.1446+1G>A)、他2犬種で別遺伝子の候補を拾い、原因の異質性を総括。ハノーファー獣医大学の Vagt・Distl(2018)は、共通祖先を持つ Deutsch Drahthaar 罹患16頭を解析し、罹患犬の検査試料に c.1332C>T は無く、多遺伝子モデルまたは主遺伝子混合モデルが最もよく説明すると報告。
ヒトの Caffey 病も相似形。主因は I 型コラーゲン α1 鎖遺伝子 COL1A1 の特定の1変異で、常染色体優性・不完全浸透。大阪大学小児科の Kitaoka らは2014年、日本の2家系を報告しました。一方は発端者に加え臨床的に健康な家族2人も同一変異(p.Arg1014Cys)を保有、他方は COL1A1・COL1A2 とも変異なし。保有しても無発症の人、非保有で発症する家系——犬の CMO を考える補助線です。なお SLC37A2 はヒト Caffey 病の新たな「候補」遺伝子という段階にとどまります。
日本の獣医学誌に残る3つの記録——1970年の病理、1985年のスコッチテリア、2003年のコーギー
CiNii で国内書誌をたどると、1970年の第70回日本獣医学会・病理学分科会に、スコティッシュ・テリアの「所謂 Craniomandibular osteopathy」病理学的研究の演題(日本獸醫學雜誌32巻、内容未確認)。
1985年の日本獣医師会雑誌には、山口大学農学部のグループの治験例(38巻6号)。生後3か月ごろから下顎疼痛が持続した雌のスコッチテリアが7か月齢で来院、体温40.1℃、開閉口・咀嚼困難、両下顎骨に硬結性肥大。X線で下顎骨の左右対称性肥厚、他の頭蓋骨に明確な変化なし。ステロイド・解熱鎮痛薬・抗菌薬の5か月間の間欠投与で症状は消退(薬剤選択と用量は個体ごとに獣医師が決めるもので、本記録は処方の目安ではありません)。
2003年の同誌には、顔面腫脹を主訴とした4か月齢・雌のウェルシュ・コーギーを X線CT 等で「頭蓋下顎骨症」と診断した症例(56巻1号)。抄録の付記は、ウエスティを含むテリア種に多発とされる一方、コーギー罹患は極めて稀との位置づけ。日本のウエスティ自体の症例報告、国内ウエスティの c.1332C>T 保有率の調査は、今回の探索範囲では未発見です。
2例とも X線で下顎骨の肥厚を確認し、2003年例ではさらに CT で範囲を評価。日本獣医師会の2015年料金実態調査(1,365施設)では、単純X線「対応外」は1.3%のみ、造影なし CT「対応外」は85.8%。下顎の腫れた子犬はまず一次診療で触診と X 線、鼓室胞・顎関節の精査が要れば CT 保有の二次診療施設へ、が現実的な順路。東京大学附属動物医療センターは歯科・口腔外科、整形外科、CT・MRI 完備の画像診断部を擁し、初診は一次診療医経由の予約制。なお顎の腫れる子犬がすべて CMO とは限らず、スウェーデン農業大学は白血球接着不全症のアイリッシュ・セターで CMO 類似の骨病変を記録。この鑑別こそ診察室の領分です。
アオイ歯医者さんと整形外科、どちらにかかれば? 森下 慧窓口の決まりは非公開。1985年と2003年の国内例はX線やCTで下顎骨を確かめて診断されたので、まず一次診療で撮影し、紹介先は担当医と相談を。「キャリアは発症しない」が当てはまらない——国内の説明文を CMO 向けに読み替える
和文の犬 DNA 検査ガイドの大半は劣性型前提。JKC の遺伝子疾患解説(鹿児島大学・大和修教授監修)も劣性前提の三区分交配表で、無症状保因犬の一律排除には倫理面から否定的。劣性型には妥当な指針ですが、ライオン顎ではその「キャリア」欄の犬自身に下顎腫脹が出うる——ヘテロ275頭中10頭がその物証です。
2026年10月10日時点、国内5窓口の公開ページ精査で CMO 項目保有は Orivet Japan 1社のみ。ウエスティ用セット(21,400円・税込)の4疾患中1項目が頭蓋下顎骨症(テリア系)表記、遺伝子名は不掲載。VEQTA・Pontely・アモマグのウエスティ枠、アニコム パフェ公開表は CMO 項目不在。Orivet のFAQは潜性(劣性)・顕性(優性)の二分法で、「不完全浸透」の区分を持たず、CMO 欄の区分名も非公開。
読み替えは三点。1コピー=下顎リスク保有段階、2コピー=高リスクだが確定ではない、変異ゼロ=c.1332C>T 1か所限定の陰性。Orivet の単検査(10,700円)は既存セット利用者等に限定した受付で、CMO 単独選択の可否は不明。検体は大阪へ返送、4〜7週間で英文報告書と和文の用語解説・見方ガイドが PDF で到着。同セットのクラッベ病(GALC)は遺伝形式が別物なので、項目ごとに物差しを替えて読解を。
生後56日から1歳まで——お迎え、補償開始、発症の窓を1本の時間軸に並べる
ライオン顎の好発月齢は、子犬の新居入りの直後と重複。動物愛護管理法第22条の5により、繁殖を行う犬猫等販売業者による子犬の販売目的引渡しは56日齢超から。8週齢前後で迎えた場合、国内2例の下顎疼痛・顔面腫脹は3〜4か月齢、Hytönen らの記述では4〜8か月齢が中心。下顎異変の初発まで最短1〜2か月という計算。
その間隙に保険の「開始日」が介在。第一アイペット損保「うちの子」は待機期間ゼロでもカード払い申込みから補償始期まで最短1か月、先天性は始期後の初診断分限定。アニコム損保、ペット&ファミリー損保の主力商品も先天性を補償範囲に含む一方、初年度30日の待機中に始まった下顎腫脹は対象外。PS保険は股関節形成不全等の遺伝性疾患を免責列挙、下顎骨増殖の該当可否は不記載。頭蓋下顎骨症の名指し約款は皆無、ヘテロ・ホモ判明済み個体は申込み前照会が得策。「うちの子」のウエスティは犬B区分、0歳・70%補償で月払3,660円(2026年10月10日時点)。
購入者側の武器は施行規則第8条の2の対面説明義務。説明項目に親・同腹仔の遺伝性疾患発生状況があり、「幼齢期に下顎腫脹の同胎犬は」「親犬の CMO 判定は」と病名指定の質問が可能。繁殖業者側には飼養管理基準省令による遺伝性疾患リスク個体・組合せの繁殖禁止規定。ただしヘテロ自身が下顎リスクを負う CMO への適用解釈は未提示で、本記事では判断を保留。JKC 犬籍登録のウエスティは2005年2,779頭→2025年416頭(141犬種中33位)、20年で約7分の1に縮小。小集団化した犬種ほど、種犬1頭ごとの CMO 判定の重みは増大。
アオイお迎え初日に保険加入、で顎の治療費は守れる? 森下 慧鍵は日付の並び。国内2例は3〜4か月齢で下顎疼痛、補償始期まで最短1か月の商品も。お迎え日から逆算し申込み日を前倒しに。痛みと付き合う数か月——治療研究で分かっていること、言えないこと
CMO の根治療法も発症予防法も未確立。症例報告に並ぶのは疼痛管理、摂食維持の支持療法、重症例の外科。2002年のブルマスティフ(6か月齢)は NSAID 鎮痛の3か月後、無投薬で疼痛消失、下顎の触知可能な変化も消失。2025年のニューファンドランド(5か月齢)も16週後に上顎隆起がほぼ正常化。治療法同士の対照比較研究はなく、いずれも単一症例の記録です。
2024年の CT 研究では、全頭が紹介前に鎮痛薬を投与されたものの改善は皆無か軽度で、序論は顎関節(偽)強直例の予後不良を指摘。2016年の論文は SLC37A2 がビタミン D 受容体の一次標的遺伝子との報告に触れ、正常型発現の底上げを「検討の余地」として提示しましたが、犬での有効性を示した研究は皆無。サプリメント・人体用薬剤の独断投与は厳禁、薬剤選択と用量は主治医に一任。
家庭で拾えるサインは、硬いフードの食べ残し、あくびや開口時の悲鳴、下顎両側の張り、発熱、耳を頻繁に掻く動作など。骨格成長が止まる1歳前後で鎮静化する犬が多数派でも、経過は個体ごとに別物。下顎や外耳の異変は、成長期のうちに動物病院へ。
よくある質問
Q. ライオン顎の初発は生後何か月ごろ?
Hytönen らの2016年論文は4〜8か月齢、2020年の全ゲノム研究は3〜7か月齢、2024年 CT 研究の来院時は6週〜12か月齢(平均6.5か月)。国内のスコッチテリアは生後3か月ごろから下顎疼痛。1歳前の子犬が下顎への接触を嫌う、硬いフードを残すなら、獣医師の触診と X 線を。
Q. 判定票で1コピー。劣性の「キャリア」と同列?
同列不可。1,052頭研究の結論は不完全浸透の優性、ヘテロのウエスティ275頭中10頭に CMO 報告。下顎リスク保有段階とみなし、顎の評価は獣医師に。
Q. 2コピーのウエスティは、いずれ下顎が腫れる?
ホモ123頭で CMO 報告48%、残りは報告なし。対照犬は臨床未診察で、「半数発症」という確率への読み替えは不可。
Q. 変異ゼロなら、ライオン顎とは無縁?
c.1332C>T 1か所の不在以上の意味はなし。2016年には変異非保有の罹患スコティッシュとケアーン各1頭、2020年にはバセットの c.1446+1G>A、2018年にはドイツの Drahthaar の多遺伝子型。
Q. 1歳で鎮静化するなら、自宅観察のみで十分?
不十分。英国では外耳道を骨が全周性に取り巻き全耳道切除に至ったウエスティ3頭、2024年 CT 研究では20頭中5頭が手術へ。DNA 判定は臨床診断の代替ではないので、下顎腫脹や開口痛があれば結果を待たず動物病院へ。
参考文献
- Hytönen MK, Arumilli M, Lappalainen AK, Owczarek-Lipska M, Jagannathan V, Hundi S, Salmela E, Venta P, Sarkiala E, Jokinen T, Gorgas D, Kere J, Nieminen P, Drögemüller C, Lohi H (2016). Molecular characterization of three canine models of human rare bone diseases: Caffey, van den Ende-Gupta, and Raine syndromes. PLoS Genetics 12(5):e1006037.
- Padgett GA, Mostosky UV (1986). Animal model: the mode of inheritance of craniomandibular osteopathy in West Highland White terrier dogs. American Journal of Medical Genetics 25(1):9-13.
- Letko A, Leuthard F, Jagannathan V, Corlazzoli D, Matiasek K, Schweizer D, Hytönen MK, Lohi H, Leeb T, Drögemüller C (2020). Whole genome sequencing indicates heterogeneity of hyperostotic disorders in dogs. Genes (Basel) 11(2):163.
- Vagt J, Distl O (2018). Complex segregation analysis of craniomandibular osteopathy in Deutsch Drahthaar dogs. The Veterinary Journal 231:30-32.
- Pérez López LA, Almansa Ruiz JC, Steenkamp G, Holdsworth A (2024). Computed tomographic characteristics of craniomandibular osteopathy in 20 dogs. Frontiers in Veterinary Science 11:1436356.
- Beever L, Swinbourne F, Priestnall SL, Ter Haar G, Brockman DJ (2019). Surgical management of chronic otitis secondary to craniomandibular osteopathy in three West Highland white terriers. Journal of Small Animal Practice 60(4):254-260.
- 橋本元秀, 田中幹郎, 中間實徳, 後藤直彰 (1985). 犬の頭蓋骨下顎骨骨症 (Craniomandibular Osteopathy) の一治験例 [Canine craniomandibular osteopathy successfully treated]. 日本獣医師会雑誌 (Journal of the Japan Veterinary Medical Association) 38(6):393-395.
- Nagaya Y, Murakami M, Tarui S, Takahashi S, Yagi S, Morita N, Takahashi C (2003). A case of craniomandibular osteopathy in a Welsh corgi. Journal of the Japan Veterinary Medical Association 56(1):32-35.
- Kitaoka T, Miyoshi Y, Namba N, Miura K, Kubota T, Ohata Y, Fujiwara M, Takagi M, Hasegawa T, Jüppner H, Ozono K (2014). Two Japanese familial cases of Caffey disease with and without the common COL1A1 mutation and normal bone density, and review of the literature. European Journal of Pediatrics 173(6):799-804.
検査で調べるには
ペットのDNA検査には遺伝性疾患のキャリア(保因)やリスク指標を含むものがありますが、結果は「情報」であって診断ではありません。気になる症状や確定診断が必要な場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。
この記事で扱う 頭蓋下顎骨症 (SLC37A2) を、各サービスが検査対象として明記しているかを、お住まいの地域別にまとめました(✅=対象/❓=要確認(公式に明記なし)/❌=対象外)。
日本国内にお住まいの方
日本国外にお住まいの方
※ キットの購入・国際配送が可能でも、検体の返送・解析・結果受領といったサービス提供が居住国で受けられる保証はありません。各サービスの「サービス提供」地域と返送方法を注文前に必ずご確認ください。
その他の国・地域で提供されているサービス(お住まいの地域では入手できない場合があります)
健康・症状が心配な方へ — 獣医師への相談
遺伝性疾患の確定診断や治療方針は、検査キットではなく獣医師が判断します。以下は公的な相談先です。
※本セクションには広告(アフィリエイトリンク)を含みます。当サイトは商品の購入・申込みにより成果報酬を受け取る場合があります。Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。遺伝子検査は病気の予防・診断・治療を保証するものではなく、結果は「傾向・情報」を示すものです。
このページは教育目的の情報提供であり、獣医療上の診断・助言ではありません。ペットの健康に関する判断は、必ず獣医師にご相談ください。


